目次
底床の掃除屋さんとしても知られるドジョウ。その愛らしい姿と独特の生態で、多くのアクアリストに愛されています。この記事では、ドジョウの種類や魅力、飼育のコツまで詳しくご紹介します。
ドジョウとは?

基本情報
学名:Misgurnus anguillicaudatus(ドジョウ)
分類:コイ目 ドジョウ科
別名:マドジョウ、泥鰌
特徴
ドジョウは、日本をはじめとする東アジアに広く分布する淡水魚で、細長い体と十本のヒゲが特徴的です。砂の中に潜る習性があり、その際に底床のエサを探して食べるため、底床の掃除屋さんとも呼ばれています。
生息地と生態
生息地:河川、湖沼、水路、湿地などの淡水域
水質:弱酸性〜中性(pH6.5〜7.5)
水温:10〜25℃(適温は20〜23℃)
ドジョウは人里近くの水域にも多く生息し、環境適応能力が高い魚です。夜行性で、昼間は底床に潜って休み、夜になると活発に活動します。
ドジョウの魅力

ユニークな行動と愛らしい姿
ドジョウは底床を掘ったり、砂に潜ったりする独特の行動が魅力的です。その様子を観察するだけで癒されます。また、ヒゲを使ってエサを探す姿や、砂から顔だけ出している姿は愛嬌があります。
底床の掃除屋さんとして活躍
ドジョウは他の魚が食べ残したエサや、底床に溜まった有機物を食べてくれるため、水槽内の環境維持に貢献します。残飯処理要員として、水質の悪化を防ぐ手助けをしてくれます。
多種多様な種類と奥深さ
一口にドジョウと言っても、日本には多くの種類が存在します。地域ごとに特異な習性や生態を持つ種も多く、知れば知るほど奥深い世界が広がります。
ドジョウの種類と特徴
ドジョウ(マドジョウ)
学名:Misgurnus anguillicaudatus
特徴:最もポピュラーなドジョウで、体長は最大で20〜30cmに成長します。丈夫で飼育が容易なため、初心者にもおすすめです。エサ用として販売されることも多いですが、観賞魚としても人気があります。
シマドジョウ
学名:Cobitis biwae
特徴:体に斑点や筋状の模様がある日本固有種。河川中〜下流域や湖沼に生息し、比較的きれいな水を好みます。模様の個体差が大きく、美しい体色が魅力です。
スジシマドジョウ
学名:Cobitis matsubarae ほか
特徴:東海地方以西に生息し、明瞭な筋模様が特徴的です。複数の種に細分化されており、地域や個体によって模様が異なります。アクアリウムでも比較的流通しています。
ホトケドジョウ
学名:Lefua echigonia
特徴:遊泳性が強く、砂に潜らないドジョウです。貝類を好んで食べるため、スネールイーターとしても利用できます。湧水域などのきれいな水を好み、高水温に弱いため、飼育には注意が必要です。
アジメドジョウ
学名:Cobitis sinensis
特徴:本州中部から近畿地方にかけて分布します。急流の浅瀬を好み、石に吸い付く口を持つため、コケ取り生体としても活躍します。高水温に弱く、冷水環境が必要です。
ヤマトシマドジョウ
学名:Cobitis takatsuensis
特徴:九州地方および山口県にのみ生息する日本固有種。タイリクシマドジョウと混同されていましたが、別種として認識されています。
イシドジョウ
学名:Cobitis kaibarai
特徴:北九州や中国地方西部に生息し、シマドジョウの仲間では最も小型の種です。渓流に生息するため、高水温と水質の悪化に特に注意が必要です。
ハナジロドジョウ
学名:Misgurnus mizolepis
特徴:韓国原産のドジョウで、黄色味のある体色とオレンジのヒゲが特徴。鼻筋が白く見えることからこの名が付いています。飼育は容易で、日本産淡水魚と同様に扱えます。
シュガースポットローチ
学名:Botia histrionica
特徴:中国原産のドジョウで、バナナのような黄色い体色に黒や褐色の斑点がある大型種です。臆病な性格のため、隠れ家を用意すると良いでしょう。砂に潜る習性はあまり強くありません。
ドジョウの飼育方法

必要な飼育用品
水槽:45〜60cm以上の水槽(成長を考慮すると60cm以上がおすすめ)
底床材:細かい砂やソイル(ドジョウが潜りやすいもの)
フィルター:上部式フィルターや外部式フィルターがおすすめ
ヒーター:必要に応じて使用(一般的には不要だが、熱帯種の場合は必須)
クーラー:高水温に弱い種を飼育する場合は必要
照明:明るすぎないもの
隠れ家:流木、岩、土管、水草など
水槽の設置と準備
水槽の選択
成長すると20〜30cmになる種もいるため、60cm以上の水槽が理想的です。狭い水槽ではストレスを感じやすくなるため、最初から大きめの水槽を用意しましょう。
底床材の敷設
ドジョウは砂に潜る習性があるため、細かい砂を5cm以上の厚さで敷きます。ソイルは水質を酸性に傾け、掘り起こされると水が濁るため基本的に不向きです。
フィルターの選択
上部式フィルターや外部式フィルターが適しています。底面式フィルターは、底床に潜るドジョウとの相性が良くないため避けましょう。
隠れ家の設置
ドジョウは臆病なため、隠れられる場所を複数用意します。流木や土管、水草などが適しています。
水質と水温の管理
水質:pH6.5〜7.5の弱酸性〜中性を維持。
水温:20〜23℃が適温。高水温に弱い種はクーラーで管理します。
水槽のフタ
ドジョウは飛び跳ねることがあるため、しっかりとフタをしましょう。
エサの与え方
種類:低層魚用のタブレットフードや沈下性の顆粒フードがおすすめ。冷凍アカムシやイトメなども好んで食べます。
給餌回数:1日1〜2回、適量を与えます。
注意点:過剰な給餌は水質悪化の原因になるため、食べ残しがないように注意します。
水質管理
定期的な水換え:週に1回、全体の1/3程度を目安に水換えします。
水質チェック:アンモニアや亜硝酸塩の濃度をテスターで確認します。
フィルターの清掃:汚れが溜まったら適宜清掃し、ろ過能力を維持します。
ドジョウの性格と寿命
性格
ドジョウは基本的に温和な性格ですが、種類によっては活発に泳ぐものや、やや気性が荒いものもいます。飼育する際は、飼育予定の種の性格を事前に調べておくと良いでしょう。
寿命
ドジョウは飼育できる魚としては長寿で、平均8〜10年生きると言われています。適切な飼育環境とケアにより、長く健康に育てることができます。
ドジョウの混泳について
相性の良い生物
金魚:水質の適応範囲が広く、泳ぐ層も異なるため相性が良いです。ただし、ドジョウが小さい場合は注意が必要です。
メダカ:同じく日本産淡水魚であり、水質や水温が合うため一緒に飼育できます。
小型熱帯魚:アカヒレやネオンテトラなど、温和な性格の魚であれば混泳可能です。ただし、水温管理に注意が必要です。
エビ類:ヤマトヌマエビやスジエビなど、大型のエビであれば混泳が可能です。小型のエビは捕食される可能性があります。
混泳のポイント
性格の合う魚を選ぶ:ドジョウは温和なため、同じく温和な魚種を選びます。
サイズに注意:大きすぎる魚や攻撃的な魚との混泳は避けます。
餌の競合:底床で餌を探す魚同士では、餌が行き渡るように工夫します。
隠れ家の提供:混泳相手が多い場合、ドジョウがストレスを感じないよう隠れ場所を多めに用意します。
混泳に適さない生物
肉食性の魚:大型のシクリッドやアロワナなど、ドジョウを捕食する可能性があります。
攻撃的なエビ:スジエビなどが小さなドジョウを攻撃することがあるため、サイズに注意します。
ドジョウの繁殖について

繁殖の難易度
ドジョウの繁殖は一般的に家庭で行うのは難しいとされています。しかし、ホトケドジョウは比較的繁殖が容易とも言われています。
繁殖環境の設定
水槽:広めで安定した環境を用意します。
水温:20〜22℃を維持します。
水質:弱酸性〜中性(pH6.5〜7.0)をキープします。
底床:細かい砂を厚めに敷きます。
隠れ家:産卵場所として利用されるため、多めに配置します。
繁殖の手順
親魚の選定:健康で成熟したオスとメスを用意します。
水温と水質の調整:適切な環境を整えます。
環境の変化:水換えや水温の変化で産卵を促します。
産卵と孵化:メスが底床に産卵し、オスが受精します。
稚魚の育成:インフゾリアやブラインシュリンプの幼生を与えます。
ドジョウの病気と対策
よくある病気
白点病
症状:体表に白い点が出現します。
原因:水温の低下やストレス、過密飼育など。
対策:水温を28〜30℃に上げ、専用の薬剤で治療します。
水カビ病
症状:怪我をした部分に白い綿状のものが付着します。
原因:物理的な怪我や水質の悪化。
対策:水質を改善し、傷口の消毒と薬浴を行います。
細菌性感染症
症状:全身が赤く充血するなど。
原因:水質の悪化や他の魚からの感染。
対策:抗菌剤系の魚病薬を使用し、水質を改善します。
病気予防のポイント
適切な水質管理:定期的な水換えとフィルターの清掃を行います。
怪我を防ぐ環境:底床やレイアウトに鋭利なものを避けます。
ストレスの軽減:隠れ家を用意し、過密飼育を避けます。
新魚の隔離:新たに導入する魚は事前にトリートメントを行います。
ドジョウ飼育のコツ
水質の維持
ドジョウは水質の変化に比較的強いですが、急激な変化や悪化は避けるべきです。特に高水温には弱い種もいるため、水温の管理は重要です。
底床の選び方
細かい砂を使用し、ドジョウが潜りやすい環境を作ります。ソイルや粒の大きい砂利は適していません。
隠れ家の設置
ドジョウは臆病な性格のため、安心して過ごせる隠れ家を用意しましょう。流木や岩、水草、土管などがおすすめです。
餌の与え方
沈下性の餌を使用し、底床まで届くようにします。過剰な給餌は避け、適量を与えます。栄養バランスを考えて、たまに冷凍アカムシなどを与えると良いでしょう。
日々の観察
魚の健康状態をチェックし、異変がないか確認します。病気の早期発見・対策が重要です。
まとめ
ドジョウはそのユニークな行動と愛らしい姿で、多くの人を魅了しています。初心者でも飼育しやすく、水槽に新たな楽しみをもたらしてくれるでしょう。適切な環境と愛情を持って接することで、ドジョウの魅力を最大限に引き出すことができます。
ぜひ、この機会にドジョウ飼育を始めて、癒しのアクアリウムライフを楽しんでみませんか?