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ネコザメは、その名前の由来となった「猫の耳のような」独特な頭部の形状と、落ち着いた性格で人気のある小型サメです。水族館では展示例が多く、家庭用の水槽でも飼育可能なため、サメを初めて飼う方にもおすすめされることが増えています。本ガイドでは、ネコザメの基本的な特徴や生態、適切な水槽設置、必要な飼育設備、餌やり、水質管理、さらには繁殖方法やトラブルシューティングまで、初心者から上級者まで役立つ情報を余すところなく解説します。
ネコザメとは?特徴と魅力を徹底解説

出典:photoAC
1 ネコザメの基本情報
ネコザメ(学名:Hemitriakis japanica など、地域により異なる場合もあります)は、ネコザメ目ネコザメ科に属する小型のサメです。
身体サイズ: 成長しても概ね1メートル未満
寿命: 飼育下では長期飼育が可能で、自然界では約10年前後生きるとされています
分布: 太平洋北西地域および日本沿岸、北海道以南の浅い海底の岩場や藻場に生息
2 魅力的な外観と温厚な性格
ネコザメは、丸みを帯びた円筒形のボディと、体側にある茶色いしま模様が特徴です。また、目の上にある突起(猫の耳や牛の角に例えられる部位)がその名前の由来です。
温厚な性格: 攻撃的ではなく、おとなしいため、水槽内のタンクメイトとしても問題なく共存できる
飼育のしやすさ: 小型で成長が穏やか、飼育環境が整えばストレスなく長期間飼育可能
ネコザメ飼育の基礎知識と飼育が初心者向けな理由
1 初心者がネコザメを選ぶ理由
ネコザメは大型のサメに比べ、飼育空間が比較的コンパクトで済むうえ、性格が温和なため、初めてサメを飼う方におすすめです。
飼育環境の負担が軽い: 1メートルクラス以下に成長し、適切な水槽と機材を用意すれば管理が可能
混泳性が高い: 他の温和な熱帯魚や底生性の魚と同居可能。水槽内の中層~上層で動く魚とは、うまく役割分担ができます
水槽での展示効果: 底をゆっくり歩くように泳ぐ姿は、観察していて癒し効果が高く、インテリアとしても映える
2 飼育前に知っておきたい注意点
水槽サイズの重要性: 飼育下では成長が抑えられる傾向がありますが、最低でも90cm、できれば120cm以上の大型水槽が必要
海水環境の維持: ネコザメは海水環境専用の生体です。海水特有の水質管理(塩分濃度、pH、溶存酸素など)ができる設備が求められます
安全性の確保: 背びれの前端にあるとげには弱い毒性があるため、直接触れる際は注意が必要です
ネコザメの水槽設置と飼育に必要な設備
1 理想的な水槽サイズとレイアウト
ネコザメの快適な飼育には、余裕のある水槽空間が必須です。
推奨水槽サイズ: 最低でも幅90cm、できれば幅120cm以上の水槽。水量が多いほど水質管理がしやすく、ストレスも軽減されます
水槽内レイアウト: 岩やサンゴ岩を配置し、隠れ家や安全な休息場所を作ることでネコザメの自然な行動を促進します
2 必要な機材・アイテム一覧
ネコザメの飼育には、下記のような設備や道具が欠かせません。
水槽設備およびオプション:
水槽台・水槽マット、フタ
照明器具: 海水用に最適化されたLEDや蛍光灯
ろ過装置: 十分な処理能力を持つ外部式もしくは外掛け式フィルター
ヒーター/クーラー: 水温管理用。特に夏場は冷却ファンやクーラー併用も検討
エアーポンプ: 酸素供給と水循環のためのエアレーション 海水環境関連の器材:
人工海水の素: 海水の調整に必要
比重計/水槽用温度計、pH測定器: 水質チェックと管理の必須ツール
水質調整剤・カルキ抜き: 新陳代謝に合わせた水質維持のため
3 水槽の立ち上げ方法と初期準備
水槽の洗浄と乾燥: 立ち上げ前に水槽を徹底的に洗浄し、完全に乾かす
水の準備: 海水を作る際、カルキ抜きした水に人工海水の素を加え、比重計で塩分濃度(通常1.020~1.025程度)を調整する
ろ過と循環の開始: ろ過装置を動作させ、最低でも1か月間は新設水槽として環境を安定させる
生体導入前の水合わせ: ビニール袋に入ったネコザメを水槽の水温に合わせるために、浮かべた後、数回にわたって段階的に水の入れ替えを実施
ネコザメの水合わせと初期導入の手順
1 水合わせの基本手順
ネコザメを水槽に入れる際の水合わせは、生体へのストレスを軽減するため非常に重要です。以下の手順を参考にしてください。
袋水の温度調整: ネコザメが入ったビニール袋を水槽に浮かべ、内部と外部の水温を同じにする(約30分程度)
段階的な水交換: 袋内の水を約1/3捨て、その分の水槽水をゆっくり追加。これを数回(目安として5回程度)繰り返す
移入タイミング: 生体が自ら水槽に入る状態になれば、ゆっくりと袋ごと投入し、直接の移動刺激を避ける
2 水温と水質のポイント
適正水温: 約22〜23℃程度が理想。高温になりすぎると食欲減退や体調不良の原因に
水質: 弱アルカリ性(pH7.8〜8.4程度)が基本ですが、安定した塩分濃度と十分な溶存酸素の供給が必須です
ネコザメの餌と栄養管理
1 ネコザメの好む餌とは
ネコザメは、野生では海底に生息する貝類や甲殻類、ウニなどの硬い殻を持つ獲物を主に捕食します。飼育下でもその本能を維持するため、以下の餌をバランスよく与えることが推奨されます。
生き餌: 小エビ、貝類など。生き餌は運動能力の維持にも寄与
切り身・固形餌: アジやサバ、イカの切り身も適量。柔らかい餌のみでは本来の「かみ砕く」行動が失われる危険性があります
人工飼料: 海水魚用の顆粒餌や冷凍加工された餌を併用することで、栄養バランスが整います
2 与餌量と頻度の管理
与餌の頻度: 初期は1日1回から始め、個体の状態を観察しながら2日〜3日ごとに調整
与餌量の目安: 一回の給餌で余剰が出ないよう、数分で食べきれる量を目安に。食べ残しが水質悪化に直結するため、注意が必要です
餌の種類のローテーション: 複数種類の餌を与えることで、飽きによる拒食や栄養不足を防ぎます
ネコザメの水質管理と水換えの重要性
1 水質維持のための基本対策
サメは他の熱帯魚に比べて廃棄物が多く、こまめな水質管理が不可欠です。以下が主な対策です。
定期的な水換え: 2週間に1回、または状況に応じて水槽全体の約3分の1〜半分を新しい海水に交換
フィルターの清掃と点検: ろ過装置が正常に働いているか定期的にチェックし、バクテリアの定着状況を確認する
pH・塩分・溶存酸素のモニタリング: 水槽用のテストキットを用いて、日々の数値管理を徹底
2 水換えの手順とポイント
新しい海水の作成: 前日または当日に新鮮な水を使って人工海水を調整。比重計で塩分濃度を確認
水槽からの排水: バケツを用い、慎重に古い海水を抜く
新水の注入: 急激な水質変化を避けるため、少しずつ新しい海水を注入しながら水槽内の循環を促す
水槽内の清掃: 底砂の汚れや藻類を取り除くことで、全体の水質維持に努めます
ネコザメの健康管理とトラブルシューティング
1 健康状態のチェックと日々の観察
ネコザメは飼育環境に大きく影響されるため、日々の健康チェックは必須です。
行動の変化: 活動量の低下、エサに対する反応の鈍さ、泳ぎ方の乱れなどを見逃さない
体色の変化: 体色がくすんだり、明らかに不自然な変色が見られた場合は水質や水温の急変が原因の場合があります
外傷・感染症の兆候: 傷や赤み、ヒレの異常な破損がないかを定期チェック
2 トラブルへの対応策
餌が食べられない場合: 水温や水質の急変、ストレスが原因であることが多いため、水槽環境全体の再チェックと、餌の種類を切り替えてみる
水質悪化・濁り: フィルターのメンテナンス不足、与餌の過剰が原因の場合があるので、速やかに水換えとフィルター清掃を実施
怪我や感染症の兆候: 早期に隔離して、市販の治療薬を併用しながら、専門家への相談も検討
衝撃!!卵の形がドリル!?

出典:photoAC
1 独特な卵殻の構造とその機能
ネコザメの卵は、全長約10~15cmのらせん状の卵殻を持ち、まるでドリルやネジのような外観が特徴です。こんな形状は、潮流に流されず岩や海藻にしっかり引っかかるための進化的な工夫と考えられています。卵殻には無数の微小な穴が開けられており、これにより新鮮な海水が内側へと循環、稚魚に必要な酸素が供給され、また老廃物が効果的に排出される仕組みとなっています。こうした独自の構造は、厳しい海洋環境で卵を保護し、次世代の命を安全に育むための自然の知恵が凝縮されていることを示しています。
2 卵の運搬と隠し場所
産みたての卵は非常に柔らかいため、母親ネコザメはこれを大切に口にくわえ、まるで宝物のように運搬します。運んだ卵は、最適な隠れ家となる岩陰や海藻の間に押し込んで固定されます。時間が経つにつれ、卵殻は海水の影響で硬化し、外敵や激しい潮流から守る堅固なシールドへと変わります。この方法により、卵は流されずに安全な場所に固定され、稚魚が孵化まで安定した環境で育つことができるのです。母親のこうした手際の良い卵の配置は、次世代への強い愛情と生命への執念を感じさせ、見ている者に深い感動を与えます。
ネコザメの繁殖と生態の秘密

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1 繁殖の実態と飼育下での挑戦
ネコザメは比較的繁殖がしやすいサメとされていますが、飼育下での繁殖は十分に成功させるための環境作りが必要です。
繁殖形態: ネコザメは卵生の種が多く、メスは一度に数個の卵を産む
卵の特徴: 独特なドリル状の卵殻は、外敵から守るための仕組みであり、岩や海藻に固定されることで孵化まで安全に保たれます
飼育下での注意点: 繁殖を目指す場合は、他の生体から隔離した専用水槽で環境を安定させ、温度・塩分・pHを慎重に管理する必要があります
2 生態から見るネコザメの進化的魅力
ネコザメは、底生で静かに生息する性質とともに、独自の歯の形状を持ちます。
歯の構造: 前方のとげと奥の臼状の歯により、硬い貝類やウニ、カニ類を砕きながら捕食する
行動パターン: 夜行性で、日中は岩陰に潜み、夜になると周囲を探索してエサを求める生活リズムが見られます
文化的背景: 一部地域では、食用としても利用されることがあり、また水族館での展示によって多くの人々に親しまれている
ネコザメ飼育の成功事例と飼育環境の改善ポイント
1 成功事例から学ぶ飼育のコツ
実際にネコザメの飼育に成功している多くの愛好家の事例から、以下の点が共通して重視されています。
環境安定化の徹底: 立ち上げ後の1か月間は水質モニタリングおよび機材の定期点検を欠かさない
混泳の工夫: ネコザメは攻撃性が低いため、他の温和な海水魚と共存させることで水槽全体のバランスを取り、ストレス軽減につなげる
適切な餌やり: 複数種類の餌をローテーションしつつ、決まった時間に与えるルールを設けることで、健康状態の維持と飼育の安定化が図られている
2 飼育環境の具体的な改善策
水槽内レイアウトの再構築: 隠れ家やゆったり泳げるスペースを意識した配置にすることで、ネコザメの自然な移動や休息行動が促進され、ストレスが軽減されます。
最新の水質測定器・自動給餌器の導入: 高精度のpH・比重測定器を利用し、毎日のチェックを自動化することで、急激な環境変化を防ぎます。
定期的な専門家による診断: 飼育環境や生体の健康状態について、定期的にアクアリウムの専門家にチェックしてもらうことで、予防措置が万全になります
まとめ
ネコザメは、その独特な外観と穏やかな性格から、初めてサメを飼育する方でも取り組みやすい魅力的な生体です。 本ガイドでは、ネコザメの特徴、生息環境、必要な飼育設備、丁寧な水槽の立ち上げ、水合わせの手順、餌やりと栄養管理、そして繁殖・健康管理まで、幅広い視点から徹底解説しました。ポイントとしては、以下の点が挙げられます。
【飼育環境の整備】:十分なスペースと海水環境の維持が、ネコザメの健康と長期飼育の鍵です。
【水質管理の徹底】:水換え、フィルターのメンテナンス、定期的な水質チェックが欠かせません。
【餌の与え方の工夫】:硬い獲物に適した餌の種類をバランスよく与え、自然な捕食行動を保つことが大切です。
【繁殖への挑戦】:繁殖環境を整え、卵の特性を理解することで、次世代の飼育に向けた可能性も広がります。
これからネコザメの飼育に挑戦する方も、すでに飼育されている方も、日々の環境管理と観察を欠かさず、愛情込めたお世話を続けることで、生体との絆が深まり、アクアリウムライフが一層豊かなものとなるでしょう。
ネコザメの魅力に触れることで、あなた自身が水槽空間に新たな彩りと癒しをもたらすことをきっと実感できるはずです。最新の飼育機材や知識を取り入れつつ、安心で快適な環境を整え、長い年月にわたり大切なペットとしてネコザメを育んでください。